0730---ニートと自覚するニート
07/30





これじゃオレって完全にニートだわ、と思ったのが一週間前の話だ。とっくに学校は卒業してもう少しで十九になるオレは、気づけばだらだらと日々を送るだけの怠惰な人間になり下がっていた。ちょっと待てよオレ、どうしてこうなった。今頃オレは進学している筈ではないのか。そして何故自分がニートだと気づくまでにこんなに時間を要しているのだ。世間ではもう夏休みと呼ばれる期間に入っている。じりじりと日が照り、じわじわと気温が上がる。もう一度言おう、オレは、この上なくニートだ。
しかしオレの家族は、とは言っても僅かな年金としがない鍼灸屋を営んで生活しているじじいだけなのだけれど、そのじじいは、じじいを頼りにして生活するという腐った孫になんの文句も言おうとしなかった。いやもしかしたらオレのことなど忘れていたのかもしれない、そう思うと少しばかり哀しくなってくる。基本的にオレは自室でぐうたら過ごして腹が減ったら適当に冷蔵庫を漁る、という生活パターンを繰り返していたものだから、忘れられていてもなんら不思議ではない。
老人をあてにして健康優良児そのものであるオレがこんなんでいいのか、いやよくない、よろしいならば働け――まずはバイトを探そうと決意し、求人情報を漁って辿り着いたのがアダルトビデオショップだったというのは、まあ、オレらしいと言えば、オレらしい。



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