あなたも同じ
(因果関係の責を問う)






最初は単純に僕のことを好きになってほしいという、ただそれだけの願いだった。でも僕は僕の好きな人には絶対に好かれなかった。哀しい。なんでだろう。なんでかな。僕の何がいけないんだろう。僕のどこが駄目なのか訊きたかったのだけれど、誰もそれには答えてくれなかった。冷たい人を好きになった訳ではないのに、絶対に最後にはみんな冷たくなってしまうのだ。可哀想な僕。僕は誰にも愛されないのか。
さあもうどうしようもない。僕は本当に、本当にきみのことが大好きで、でも今までの人たちのようにしたくはないと思って、ゆっくりゆっくり近づいたのに、僕はやっぱり駄目だったらしい。気持ちが悪いと言われたけれど一体どの行為がきみの言う「気持ち悪い」に該当したのかさっぱりわからない。僕を受け入れてよ。「僕が可哀想だと思うなら、僕を拒んだりしないでよ」。あからさまな侮蔑の視線が突き刺さる。最悪だ。嫌われた。僕はきみの胸の上で嗚咽を噛み締めるしかなかった。ぽたぽたと零れる僕の涙がきみのシャツを濡らした。うああ、僕は本当に、失敗したんだ。
僕が好きになった人は、絶対に僕のことを好きになってくれない。僕のものには決してなってくれないのだ。僕はもうずっと、このことを証明するためだけに生きている気がする。
衣服の上に手を這わすと、きみが眉を大袈裟にしかめた。きっと僕なんかが触れることすら気持ちが悪いのだろう。心臓の真上で手のひらを止めると、確かにきみが生きている証拠を感じ取った。「お願いだから、僕を好きになって」。そうじゃなきゃ、また手遅れになってしまうよ。「そしたらすぐに、この腕の拘束を解くから……」。きみは僕に嫌悪の眼差しを向けながら、何故か籠の中の鳥のように大人しかった。いくら腕を戒められているとはいえ、普段のきみからはとても想像できない程に。
「なんで何も言ってくれないの……なんで……? 僕はどうしたらいいの? どうしたら好きになってもらえるの。ねえ、もうわかんないよ、」
好きだって百万回言ったら? なんでも言うことを聞いたら? それとも、それとも、
「……私がきみを好きになることは、絶対にありません」
観察の対象だから、ただされるがままになっているだけなのだと、きみが言うから、僕は、なんだか急速に血が引いていく気がして、酷い目眩がし
























意識が正常になった頃には、やっぱりきみも冷たくなっていた。可哀想な僕。みんな僕を置いていく。誰にも愛されない僕は、誰かに愛されたい、単に好きになってもらいたいって、ただそれだけを願っていただけなのに。





(20120912)
冷たくなって、口もきいてくれないの
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