女は中央の病院と言っていた。しかしその括りは広く、この足で虱潰しに探すのはさすがに無理があった。だけれど私には有力な情報がある。私が中尉に連れられてきた病院で、エドワード本人かはともかく、私はエドワードに会った。これが何を意味するのか―――答えはひとつしかない。そこに何かがあったから、エドワードもそこにいた。ただそれだけだ。 息も絶え絶えに、私は受付の女性に尋ねた。 「エドワード・エルリックの病室は!?」 「ひっ」 「早く!」 私が凄むと、女性はびくびくしながらも病室を教えてくれた。 「ありがとう」 「いっ、いえ」 では、何かとは何か。そんなもの、考える必要もない。 結論。私が二度会ったエドワードはアルフォンスで、ここには魂のないエドワードがいる筈だ。 「どうして私は……あれがアルフォンスだと気づけなかったんだ」 阿呆らしい自分に腹が立つ。あのとき中尉も言っていたではないか。エントランスに立っていた人物を目に留めて、「どうして」と。私がエドワードに問いかけようとしたときも、「今は、どうか」と言って私を引き止めた。 目が腐っているどころではない。まったくの別人をエドワードだと思い込んでいたなんて、とんでもないことである。 けれど私は、これからどうしようというのだろう。受付の女性に教えてもらった病室へ向かって、何をしようというのだろう。何をするべきなのだろう。 あの兄弟に会って謝るべきなのか、彼らが再び犯した罪を問い詰めるべきなのか。それとも、もっと別の。 「……くそ」 一体、どうすれば。 back |