ひどく似ていたものだから、一番私が驚いた




ソドムに期待してはいけない





細い身体だった、だから、歪んで見えた。
ぱっくりと胸の開いた子供を、もうどれ程見下ろし続けているだろう。ロイの瞳に映っているのは青白い顔ではなくその下だった。喉から臍の下までまっすぐに裂かれている。皮を剥ぎ、肋骨をどけてやっと見ることのできる中身をロイは見ていた。死後からどのくらい時間が経っているのか、中は黒ずみ、異臭―――悪臭を放っている。やっとそれから目を離し、ロイは子供の途方に暮れそうな顔へと視線を向けた。
ロイの背後の扉が開き、外から部下が数人、飛び込んできた。「大佐……これ、」入ってくるなり全員が一様の反応を見せた。大きく息をのみ、目の前の猟奇さに戦慄き、上官の命を待ったが、どうせ命じたところでまともに働ける人間がどれだけいるのかもわからない。「片づけろ」ロイがそう言った直後には、やはり誰ひとり動こうとしなかった。「―――君たちの耳はただの飾りか。聞こえなかったのか? 私は片づけろと言ったんだ」それでも黙ったままの士官たちにさすがのロイも苛々とした調子で再度告げる。「理解しているとは思うが、念のため説明をつけ加えることとしよう。この部屋に散らばっているこの少年の臓器をすべてかき集め、そっくり中に詰め込み身なりを整えたのち、身元を調べ遺族の元へ返してやれ―――と、そう言ったんだが? これ以上言わせるような能なしどもは、命令違反として軍法会議にかけてやろう」やっと怖れながらも行動を開始した士官たちに、更にロイはつけ足した。「眼球も忘れるなよ。眼窩が空しいとみっともないからな。なければ適当に詰めておけばいいが」
もう言うことは何もないと、ロイは尚もぽっかりと空いてしまった腹を覗き込む。子供はおかしな陣の上に寝かせられていた。部屋中の書棚に並べられている怪しげな書物から察するに、錬金術とは違う分野の何がしかを試みたようだった。失敗に終わったのか、はたまた成功に満ちていたのかはロイの知るところではないが。僅かにたかる蝿が目障りで、ロイは炭にした。







080414
最初兄さんかと思ったんですロイロイは。

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