でぃぐれ――細かいところは目を瞑れ。






蝋燭がゆらゆら揺れて、その中に何を見たかというと、夏でもないのにまるで陽炎のように揺らぐ景色に何を見たかというと、幼き日の思い出を垣間見て、愛していた養父の顔がぼんやり見えて、それからすぐに景色は移り変わり冬となって、それからどこまでも続く長い道を一人で歩いていて、歩いていたと思ったら次は違う景色で、左眼が見えなくて、でも直るらしくて、でも誰かが泣いて、雪が降って、悪性兵器に襲われて、怪我をして、闇雲に戦い続けて、闇雲に救い続けて、左腕が壊れて、泣かれて、泣かれて―――仲間とはぐれて、たった一人知らない世界に乗り込んで、喧嘩売って、仲間に再会して、憎たらしい小言たっぷり、また泣かれて、でも笑って、嬉しくて、泣いて、そして扉目指しての戦いが始まって、仲間が一人ずついなくなって、生きていると信じているけれどとても不安で、彼らを疑っている訳ではないけれど彼らを失ったらと思うととても不安で、前を向けなくて、前に進めなくて、引き戻りたくて、そういえば灯りをくれたひとがいたなとちょっと振り返って、手に持つ蝋燭を見て、はて、何故こんなもの、と首を捻って、ここがどこかもわからずに、闇の中、僕は想いを馳せる。






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070311
久しぶりの更新がこれかい……!

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