無差別パラレル浪漫荘(拍手再録)

番外2

「2/5はやさしさです!」 




いったい。

これは決して変換ミスとかではない。ただちょっと促音が混じってしまっただけなのだ。ああでもどうしよう、痛い、な。
「……朝から何やってんの、机に突っ伏して」
あー、エド、状況描写ありがとうオリゴ糖。
「おなか」
僕は机から顔を上げずに言った。おなか、痛い。
「……珍しい。腐った団子食っても腹壊さないような奴が」
「失礼な。あれは腐ってたんじゃなくて腐りかけ、いえ、ちょっと賞味期限が過ぎてただけです」
「すっげチャレンジャーだなお前。五日くらい過ぎてなかったっけ」
「知らないそんなの。見てなかったもん」
「おおう矛盾した大胆発言キター」
エドはそう言って、僕の向かいの席に腰かける。一応言っておくけれど、エドの席ではない。
「ほら、」
「んー……」
なんだろうと思い少しだけ顔をあげると、眼前に置かれた錠剤の、瓶。
「何これ」
「ビオフォルミン。乳酸菌の薬。腹痛いんだろ? んで、これ水」
続けざまに出されたのはペットボトル。学校の自販機で、そういえば売っていたような気がする。
「……随分用意がいいですね」
なんでだろう。けれどおなかが痛いものは痛いのだ、ビオフォルミンをまるごと持っていることに少々驚きつつ、僕は乳酸菌の薬を胃袋に投下した。
「うー、ありがと。でもなんで、持ってるの」
「朝お前、なんとなく腹痛そうにしてたから。一応と思ってさ。今日オレ寝坊しちゃったし、ちょっと心配で学校きたら案の定だったけど」
「…………」
言葉をなくす。朝はそれ程痛いという訳ではなくて僕もあまり気に留めていなかったし、僕の体調の変化に目敏いラビでも気づかなかった程のものなのに。
「……あ、りがと」
「オリゴ糖」
さて、とエドはさっさとビオフォルミンとミネラルウォーターを鞄に放り込み、自分の席まで戻って行った。



2と1/3はバフォリン。2/5はビオフォルミン。某薬剤とは訳が違います。

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